1970年代総括
1966年の夏、最初で最後の来日をはたしたビートルズは翌67年、『サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』で文字どおりの金字塔を打ち立てている。ジミ・ヘンドリックスやジャニス・ジョプリンがモンタレー・ポップ・フェスティバルで衝撃的なデビューをはたしたのも、この年。ボブ・ディランの『ブロンド・オン・ブロンド』、ビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』といった歴史的名盤が同時期、相次いで発表されている。クリームやザ・ドアーズ、バッファロー・スブリングフィールドといった革新的なグループが登場したのも、やはりこの時期だった。
60年代という激動の時代、わずかな時間でピークに達したロック文化は、70年代を迎えると、さらに細分化し、多くのスターを生み出していくこととなる。その70年代の幕開けとともに、ビートルズの解散、ジミとジャニスの死といった事件が相次いだのも、きわめて象徴的なことといえるだろう。
イギリスでは、レッド・ツェッペリン、ディープ・パープルに代表されるハード・ロック/ヘヴィ・メタルのパイオニアたちが大きな成功を収め、ピンク・フロイド、キング・クリムゾン、イエスといったプログレッシヴ・ロック勢がロック表現の可能性を大きく広げていった。ローリング・ストーンズが自主レーベルを立ち上げた動きも見逃せない。
アメリカでは、シンガー・ソングライター・ブームが大きなトレンドとなり、ジェイムス・テイラーやキャロル・キング、ニール・ヤングらをスターの座に押し上げるとともに、スタジオ・ミュージシャンに注目が集まる傾向も生まれた。また、イーグルスやドゥービー・ブラザーズに代表される新しい感覚の西海岸ロック勢が大きな存在となり、南部からもオールマン・ブラザーズ・バンドなど優れたバンドが次々と登場してくる。
また、70年代初頭には、イギリスとアメリカの融合という流れも積極化している。ジョージ・ハリスンとボブ・ディランの交流や、エリック・クラプトンがデレク&ザ・ドミノス名義で発表した『いとしのレイラ』などがその代表的な成果といえるだろう。
このようにしてスタートした70年代のロック・シーンは、レコーディング技術やPA機器の発達にも助けられて、次第にビジネス的にも巨大な存在となっていく。70年代も半ばを過ぎると、ピーター・フランプトンやフリートウッド・マックなど1000万枚以上のアルバム・セールスを記録するアーティストが次々と現れ、ロック・シーンの様相そのものが大きく変化していった。その一方でイギリスからはパンク勢が台頭し、また、世界的なディスコ・ブームが大物ロック・アーティストの作品づくりにも少なからず影響を与えるようになっていく。
そしていよいよ、ロック・シーンは、MTVとCDの普及、創作のコンピュータ化に象徴される80年代を迎えることになるのだ。









